TOP > スタッフブログ > 雑記 > 雛人形を彩る赤色の毛氈(もうせん)の秘密に迫る!

雛人形を彩る赤色の毛氈(もうせん)の秘密に迫る!

2022.12.02

今年も残すところあと1か月ですね。
こんにちは。ぷりふあ人形の來海(きまち)です。
みなさんはおひな様といったらどんな色をイメージしますか?

やはり、「赤」と答える方が多いのではないでしょうか。その理由は、おひな様の段飾りに使われる赤い布によるものが大きいかもしれません。
この赤い布は【毛氈(もうせん)】と呼ばれます。
今日は、毛氈について掘り下げてご紹介していきたいと思います。

毛氈(もうせん)とは

毛氈(もうせん)とは、節句人形の下や段飾りの台の上に敷くフェルト状の布のことをいいます。
一般的には、ひな人形では【赤】、五月人形では【緑】を使う風習があります。

ひな人形の毛氈(もうせん)はどうして赤い?

ひな人形に使われる赤い布を「緋毛氈(ひもうせん)」と呼びます。
緋毛氈の色は、赤色の中でも日本古来の「緋色」で染められています。

緋色とは・・・
あかね草(温帯アジア原産の草)で染められる赤の中でも最も鮮やかで、紫色に次ぐ高貴な色とされている。
赤は活力、生命力を表す太陽の色。そして、赤には魔除け、厄除けの意味があります。

大事なところに敷く緋毛氈は、結界を表し、そこを神聖な場所とする効果があると信じられていました。
そのようなことから、ひな祭りでは、緋毛氈で神聖な場所を家の中に作り、そこに赤ちゃんを守ってくれるおひな様を飾り、お供えをして願い事をするようになったと言われています。
たしかに、神社の入口や鳥居の柱、橋の欄干なども赤ですよね。これも緋毛氈と同じ意味合いがあるそうです。

いろんな説がある五月人形の緑の毛氈(もうせん)

五月人形のに緑色の毛氈が使われるようになったのは、ごく最近のこと。なんと昔はひな祭りのときと同じ緋毛氈(赤)だったのです。しかも、緑色の毛氈にも「魔除け」の意味が含まれるそうです。
そこで、ある疑問が・・・

雛人形の赤い毛氈と同じ意味なら、どうして色が違ってきたの?

実は、緑色になった理由は諸説あるようです。

ヨモギ」説

中国ではヨモギには厄災を払う力があり、健康祈願の意味合いがあること、また毒消しの作用があることから、魔除けの色、清らかでけがれのない色として考えられていました。それが日本に伝わり緑色の毛氈が定着したとのではという説。

菖蒲(しょうぶ」説

ショウブの葉を編んで縄状にし、地面にたたきつけて大きな音の出たものを勝ち、または切れたほうを負けとする昔の端午の節句の男の子の遊びである「菖蒲打ち」からきている。この時叩きつけられた菖蒲から強い独特の香りを放つため、その強いにおいが「魔除け」になると言われるようになり、緑色の毛氈が定着したのではという説。

」説

緑色は青竹の色と考え、竹は強い生命力を象徴しており、天に向かって真っすぐ伸びるところから、健やかにすくすくとまっすぐに育ちますようにとの親の願いを込め、緑色の毛氈が定着したのではという説。

このようにいろんな説がありますが、いずれにしても、魔除けの意味が含まれており、神様に来てもらう神聖な場所を家の中に作るという意味でも、赤も緑も共通した願いが込められているようです。
でも、五月人形のイメージと言えば新緑の季節とも重なって「緑」ですから、納得ですね。

毛氈と親王台の不思議な共通点とは

親王(お殿様とお姫様)が座るための台を【親王台】といいます。
一般的には上記の写真のような畳を使った親王台がよく知られていますが、最近ではシンプルな飾り台も増えてきたことから、親王台に畳を使用していないタイプも多くなってきています。

さて、畳の親王台と緋毛氈には共通点があります。それは、どちらもこのような↑↑模様が入っているのです。
縦の縞々の間に複数の色が配色してあり、ひし形の模様が連続して規則正しく並べてあるのですが、この模様を繧繝(うんげん)と呼びます。(商品によってそれぞれ色の順番・数も千差万別で特定の基準はない)
この模様は、紅・紫・青・緑などで表現され、当時身分の高い人のみに許されていた大変縁起の良い模様です。

繧繝錦(うんげんにしき)繧繝模様の錦の織物の総称。毛氈や畳の縁などに使用する。

繧繝縁(うんげんべり)親王台だけではなく実際の畳の縁に繧繝錦を使用したものを繧繝縁という。(当時繧繝縁の施されている畳は、天皇やごく限られた身分の人にしか使用が許されていない禁色模様だった)

おひな様の男雛と女雛は天皇と皇后の結婚を表しているので、「繧繝錦を使った緋毛氈」と「繧繝縁(うんげんべり)のついた畳」の親王台に乗せることで高貴なものとしているのです。

毛氈は必ず必要か?

七段飾りのように大きな段飾りのひな人形が主流であったころは、必ず緋毛氈が敷かれていましたが、昨今では住宅事情の変化もあり、小さなひな人形が注目を浴びています。

そのため、最近ではいろいろな様式の飾り台セットがあり、緋毛氈を必要とする飾り方は少なくなってきたのかもしれません。
しかしながら、飾り方に『こうしなければいけない』という決まりはありません。毛氈がいるかどうかは、結局はお好み次第です!
とはいっても、迷いますよね・・・。
そこで!毛氈を敷くことのメリットや役割などを少しご紹介したいと思います。


✅ひな人形や五月人形を華やかにドレスアップしてくれる。
✅程よいクッション性があり、万が一人形が倒れたときに衝撃を吸収してくれる。
✅現代はリビングのチェスト上やカウンター、玄関など、飾る場所も多種多様。毛氈の上に人形を飾るだけでも素敵なスペースを演出してくれる。

以上のように、実用性だけではなく、コンパクトなひな人形や五月人形をより華やかにする演出効果も担っているようです。
住宅事情や生活スタイル、お好みにあわせて自由に飾ってみてくださいね。

毛氈のお手入れ方法は

ただし、日頃のお手入れを丁寧にしていても、どうしても汚れがついてしまったり、古くなってしまいます。そんなときは思い切って新調することをおすすめします。

どのサイズの毛氈が飾り台に合うか

「飾り台の下に毛氈を敷く場合、どれぐらいの大きさがよいのか」というご質問をよくいただきます。
いろいろな飾り方があるので一概には言えませんが、飾り台の横幅を基準として、最低でもプラス5センチはある大きさの毛氈をおすすめしています。

また、毛氈の上に飾り台だけではなく、オプションで追加購入された官女やお道具をカスタマイズして飾られたり、名前旗、木札なども一緒に飾られる方もいらっしゃいます。

お手元の飾り台とぴったり合う毛氈のサイズがご不明な場合はいつでもご相談くださいね。

サイズ展開は、おひな様用6タイプ、五月人形用3タイプです。
ぜひご検討ください。

おひな様用毛氈(赤):横✖奥行(単位㎝)

五月人形用毛氈(緑):横✖奥行(単位㎝)

毛氈感覚で使える「お飾りシート」が登場しました!

雛人形を飾り付ける際などに、敷物として手軽で便利に使えるお飾りシートが登場しました。
40cm×30cmのコンパクトサイズなので小さいおひな様にぴったりです。モダンなインテリアにも合わせやすいおしゃれなベージュ色を採用しました。
毛せん感覚でひな飾りの下に敷いて、おひなさまの印象が上品に彩ってみてはいかがでしょうか。雛飾りのキズ防止にも一役買います。

カラーは「ベージュ」と「」の2色展開です。お部屋の雰囲気に合わせてお選びください。

記事を共有する

関連記事

次男にも五月人形は必要なのか?共有やお下がりはOK?二人目以降のお悩みアレコレを解決!

【雛人形選び】迷ったらおひな様の生地に注目! 生地の特徴やオススメを解説

【初節句のお祝い・女の子編】ご祝儀の相場やかわいいオススメギフトをご紹介!