菱餅はなぜ3色?ひなあられはどうして食べる?ひな祭りに欠かせない食べ物の由来や歴史
2022.12.13
こんにちは。最近ますます寒い日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか? 私は毎年この時期になると、「去年こんなに寒かったっけ⁈」と大騒ぎしています。
暖かい春の日が待ち遠しい今日この頃。ひな祭りまでもう3ヶ月を切っています!
美味しいごちそうと一緒にお祝いするひな祭り。なかでも「菱餅」と「ひなあられ」はお雛様と一緒に飾られているので、ひな祭りに食べるものといえばこの2つをイメージする方も多いのではないでしょうか。
今回は、そんなひな祭りに欠かせない行事食、菱餅&ひなあられついて書いていきたいと思います。ルーツや地域差、食べ方など、意外と知らなかったお話があるかもしれません。
菱餅
菱餅は、名前の通り菱(ひし)形に切ったお餅です。かたちの由来についてはいくつかの説があります。
①植物の菱の実をかたどっているという説
②大地のかたちを表しているという説
③人間の心臓のかたちを表しているという説
などなど……
菱餅が現在のかたちになったのは江戸時代からです。もともとのかたちは定かではありません。しかし三重県では菱餅のことを「三角餅」と呼び、静岡県の遠江地方では3月3日に三角形のお餅を子どもから親に贈る風習が残っています。これらを踏まえて、もとは三角形のお餅だったのではないかと考えられています。
上から桃色、白色、緑色の配色が一般的な菱餅ですが、それぞれの色に大切な女の子への思いや願いがあらわれているんです。
桃色のお餅
菱餅はもともと緑と白の2色でしたが、明治時代になってから桃色のお餅が加わり、現在親しまれている3色のものになりました。桃には魔除けの効果があるといわれ、女の子の周りから悪いものを遠ざけるように、という願いが込められています。
桃色のお餅はクチナシの実を混ぜて作られていました。クチナシの果実は古くから黄色の染料として有名で、現在でもたくあんや栗きんとんの黄色に用いられています。
「桃色のお餅なのにどうして黄色の染料であるクチナシの実を使うの?」と思われるかもしれません。実はクチナシの実は酵素と一緒に発酵させることで赤色や青色の染料にもなるのですが、明治時代にそうした技術が存在していたかは不明です。桃色にするために別の染料を一緒に用いていたのかもしれません。
当時の人々が重視したのはクチナシの実の薬効です。血流の改善や解毒、鎮静など多くの効能があり、漢方薬にも用いられているクチナシの実。それを混ぜたお餅を食べさせることで、女の子の健康と長寿を祈っていました。
白色のお餅
白いお餅には粉にした菱の実が入っていました。菱とは池や沼に生える水草のひとつで、水面に葉を浮かべる浮葉植物です。この菱の実は古くから食用に用いられてきました。
繁殖力が強くたくさん増えていくことにちなみ、子孫繁栄を象徴する縁起の良い植物です。
また菱の実にはデンプンが多く含まれており、滋養強壮、消化促進、胃腸病に効果があるといわれています。中国の『食療本草(しょくりょうほんぞう)』という古い書物にも「菱実は仙人が蒸して粉にして食する。」と記述があります。健やかに長生きしてほしいという、女の子への願いがここにも表れていますね。
緑色のお餅
緑のお餅にはヨモギが使われていました。「よもぎ餅」や「よもぎの天ぷら」など、現代でもなじみ深い野草ですね。
「邪気を払う薬草」ともいわれ、厄災を退け、女の子が元気に成長するようにとの願いを込めているそうです。
ヨモギはキク科の植物で、古くから薬や料理に用いられ、たくさんの効能が確かめられてきました。
食用だけでなくお灸や止血、消毒にも重宝され、江戸時代に日本の食物について書かれた著書『本朝食鑑』でも、以下のように述べられています。
「中を温め、冷を逐ひ、一切の風湿を去り一切の血を止む。(身体を温めて冷えを改善し、リウマチの痛みや止血に効果がある。)之を灸すれは、諸経に透し、百種の病邪を治し、沈痌を起こす。(お灸として用いればあらゆる病に効き、長患いを改善する。)」
色の順番にも意味がある!
3色それぞれから女の子の健康や長寿を思う気持ちが感じられる菱餅ですが、なんと色の順番にも意味があります。
桃色のお餅は魔を遠ざけ生命力が溢れる「桃の花」、白色のお餅は清浄な「雪」、緑色のお餅は健やかな「新緑」を表しています。
上から桃色・白色・緑色の順で重ねられているものは、「桃の花が咲き、雪の下から新緑が芽吹きだしている」という早春のようすを表現しているそうです。
桃色・緑色・白色の順で重ねられた菱餅もあり、その場合は「新緑が芽吹く中にまだ雪が残っている」という、最初で述べた順番よりもさらに本格的な春の訪れを表します。どちらも厳しい冬を乗り越え、春がやってくる情景を意味するものだったんですね。
食べる時の決まりはあるの?
お餅を用いる日本の行事といえば、ひな祭りの他にお正月を連想します。鏡餅には「包丁で切るのでははなく木槌で割る」「小さなかけらも捨ててはいけない」といった決まりがありますが、菱餅には特にありません。一般的な切餅と同じように焼いて食べたり、お吸い物に入れたりして美味しくいただいてください。
ひなあられ
ひな祭りの行事食として代表的なひなあられ。関東地方と関西地方とでは味が違います。
関東地方:ポン菓子や煎り豆に砂糖がけをした甘い味付け
関西地方:もち米ベースで塩味やしょうゆ味がメインのしょっぱい味付け
全国的なシェア率としては、おおよそ甘いひなあられが7割:しょっぱいひなあられが3割だそうです。
ひな祭りにひなあられを食べるようになった由来は正確には分かっていませんが、江戸時代、女の子たちがお雛様を連れてお出かけし、野山などの外の世界を見せてあげる「雛の国みせ」という風習がありました。その際、携帯食としてひなあられを一緒に持って行ったことが始まりだとされています。
ところで、ひなあられにも色がついていますよね。何色あるかご存じでしょうか?
実は3色のものと4色のものが存在します。菱餅と同じく、ひなあられの色にもちゃんと意味があるんです。
3色のひなあられ
3色のひなあられは、一般的に桃色・白色・緑色です。
桃色は「魔除け」を意味する桃の花と生命の力、白色は「清浄」を意味する雪で覆われた大地の力、
緑色は「健康や長寿」を願うの木々の自然の力を表しています。
色といいそれぞれの意味といい、なんとなく菱餅に似ているな、思われるかもしれません。それもそのはず、もともとひなあられは菱餅を食べやすいように細かく砕いたものだといわれています。現代のひな祭りで菱餅とひなあられを一緒に飾るのは、その名残なのかもしれません。
菱餅を細かく切り、よく干してから油で揚げれば、可愛い3色ひなあられに変身します。いつもと違う方法で菱餅を楽しみたい! という方は是非お試しください。
4色のひなあられ
4色のひなあられは、前述の3色に黄色を加えたものです。
4色のものは「日本の四季」を表し、 桃色が春、緑色が夏、黄色が秋、白色が冬となります。ひなあられを食べることで四季を通じた自然のエネルギーを取り込み、年中健やかでいられるようにとの意味が込められています。
ちょっと変わったご当地ひなあられ
関東と関西で味付けが異なるひなあられですが、日本各地にその地方ならではのものが存在しています。今回はおもしろいローカルひなあられを2つご紹介します。
鳥取のひなあられ「おいり」
鳥取県では、ひな祭りの際にポン菓子に水飴を絡めて丸めたお菓子「おいり」を食べます。
鳥取市内のスーパーマーケットには2月頃からおいりが並び始め、お祝いに欠かせない食べ物になっています。もともとは残ったお米を洗って干し、それを炒って作る家庭料理でした。「おいり」という名前はこの「炒る」作業にちなんでついたものと思われます。残り物を無駄にしないという気持ちから生まれた伝統食が、現代まで受け継がれています。
名古屋のひなあられは細長い?
名古屋市では、古くからマシュマロのような細長いかたちのひなあられが親しまれていました。味はほんのりと甘く、うるち米で作られています。
残念ながら現在では細長いひなあられは大量生産されておらず、スーパーに並ぶことは無くなってしまいました。地域のお煎餅屋さんで扱っているところもあるようなので、気になる方は是非探してみてください。
かわいいお雛様と一緒にひな祭りをお祝いしよう!
菱餅とひなあられ。調べてみると意外な歴史や意味を持っていることが分かりました。
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