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端午の節句に欠かせない菖蒲のおはなし

2023.03.24

こんにちは、千田です。いよいよ春らしく過ごしやすい季節になってきましたね。ひな祭りも終わり、今度は端午の節句が近づいてきています!

ひな祭りには桜や桃の花を飾ってお祝いしますが、端午の節句といえばやっぱり菖蒲ですね。端午の節句は別名「菖蒲の節句」ともいわれるほど、菖蒲と馴染みの深い行事でもあります。

というわけで、今回は「菖蒲」について書いていこうと思います!

端午の節句は菖蒲の節句

端午の節句の起源は現代からおよそ2300年前、古代中国の邪気祓いの行事だとされています。

当時は季節の変わり目の5月頃に体調を崩してしまう人が多く、古代中国の人々はそれを邪気や魔物の仕業だとしていました。そこで、悪いものを遠ざける薬草として用いられたのが菖蒲です。軒先に菖蒲の束を吊るしたり、菖蒲の葉を浮かべた湯に入ったりして厄除けと無病息災を祈っていました。

日本にこの行事が伝わってきたのは奈良時代頃です。その後、「菖蒲」と「尚武(武道や武勇を重んじること)」「勝負」の音が同じであることにちなみ、徐々に武家の行事へと姿を変えていきました。

鎌倉時代頃の武家では、梅雨前になると鎧や兜を出し、虫干しするために部屋に飾っておく習慣がありました。この習慣と先述の菖蒲を用いた風習が重なり、徐々に現在の端午の節句のかたちに近づいていったといわれています。

花菖蒲と葉菖蒲

今も昔も端午の節句には欠かせない菖蒲。

実はお部屋に飾られているお花の菖蒲と、お風呂に浮かべる葉っぱの菖蒲、この二つは全く違う植物であることはご存知でしょうか。前者はハナショウブ(花菖蒲)、後者はハショウブ(葉菖蒲)と呼ばれます。

花菖蒲

しっとりと美しい紫色の花をつける花菖蒲。

「端午の節句の菖蒲」といえば、こちらをイメージされる方が多いかもしれません。五月人形と一緒に飾ると、お部屋がぱっと華やぎますね。

花菖蒲はアヤメ科の植物です。非常にややこしいことに、「アヤメ」の漢字表記はとショウブと全く同じ「菖蒲」です。

アヤメの仲間は葉も花も似通った姿をしており、特に「ハナショウブ」「アヤメ」「カキツバタ」の見分けが難しいといわれています。

どれも美しい花を咲かせますが、端午の節句で飾られているのはいちばん上の「ハナショウブ」です。

日本では古くから栽培されており、江戸時代には浴衣の柄になるほど人気のある花でした。

花そのものに強い香りはありません。代わりに根や茎から抽出される精油は甘くスパイシーな香りで、エステやアロマテラピーにも使用されています。

葉が鋭い刀を思わせる形状をしているため、五月人形と一緒に飾ると邪気を祓ってくれるといわれています。

葉菖蒲

そして、菖蒲湯や菖蒲酒などに使われているのがこの葉菖蒲。

先述の花菖蒲がアヤメ科なのに対し、葉菖蒲はサトイモ科に属しています。

別名「ニオイショウブ」と呼ばれるほど茎と葉に強い香りがあり、この芳香が悪い気や魔を遠ざけると信じられてきました。

5月から7月頃になると葉茎の先にねこじゃらしのような花を咲かせます。

葉菖蒲に含まれるオイゲノール、β-アサロンといった成分は疲労回復効果を持つため、生薬として使用されることもあります。

端午の節句において、もともとはこちらの葉菖蒲のみが用いられていました。ところが鋭い葉のかたちが似ていることから、次第に花菖蒲も並ぶようになっていきます。

現代では、五月人形と一緒に飾るのは花菖蒲、菖蒲湯などの日本の伝統を楽しむには葉菖蒲と、どちらの菖蒲も端午の節句に必要不可欠な存在になりました。

葉菖蒲で厄除けをしよう!

ここで、葉菖蒲を用いた伝統的な厄除けをいくつかご紹介します。

葉菖蒲は花屋さんよりもスーパーやホームセンターで手に入りやすく、4月下旬ころから並び始めます。数日程度であればラップをし、冷蔵庫に入れて保存することができます。

葉が傷んで黄色くなってしまうので、水にはつけないようにしてください。

菖蒲湯

端午の節句の風習として有名な菖蒲湯。文字通り、お風呂のお湯に菖蒲の葉を浮かべて入浴します。

日本で5月5日に菖蒲湯に入るようになったのは江戸時代中期からで、それ以前は明確な日にちまでは決まっていませんでした。

菖蒲湯に入ると邪気祓いができ、病気にかからず健康に過ごせるといわれています。先述の通り菖蒲には多くの有効成分が含まれているため、血行促進やリラックス効果が期待できるでしょう。

より香りを楽しみたい方は、お湯の温度を少し高めに設定し、葉を刻んでネットに入れたものを浮かべてみてください。

菖蒲湯は赤ちゃんも入ることができるといわれていますが、お肌が敏感でかぶれ等が心配であれば、菖蒲の葉をバスルームに置くだけでもOKです。

菖蒲酒

奈良時代に生まれたという菖蒲酒。邪気を祓い万病を治す力があるとされてきました。菖蒲独特の香りを存分に楽しむことができます。

菖蒲酒の作り方

①菖蒲の根を薄く切る
(手に入らない場合は葉の根元部分でもOK)
②切ったものを少量日本酒に入れ、しばらくの間浸す
③徳利に菖蒲の葉を添えれば、見た目にも爽やかな菖蒲酒の完成!

菖蒲を長時間浸しているとアクがでるので、30分程度経ってからすぐに飲みきることをおすすめします。温かいお酒で行う場合は、あまりに温度が高いとお酒に香りが移りすぎてしまうので注意してください。

お子様やお酒の飲めない方は、お水またはお湯でいただいてください。

菖蒲枕

菖蒲枕とは、5月4日の夜に菖蒲の葉を枕の下に敷いて眠るというものです。

古来から邪気は眠っている間に身体に入り込むと信じられていたため、寝室にも菖蒲を持ち込んで厄除けをしていました。当時は菖蒲の葉そのもので枕を作っていたそうです。

菖蒲枕を行う時は、寝具を汚さないよう紙または薄い布で葉を包んでおくと良いでしょう。爽やかな香りで安眠効果が期待できます。

花菖蒲を飾ろう!

お部屋を彩る花菖蒲は、主に花屋さんで購入できます。茎を斜めにカットして花瓶などに活けましょう。

乾燥すると蕾が開かないことがあるので、蕾のついたものを飾るときは湿度やエアコンの風向きに注意してください。

花菖蒲は非常に咲きが早い花です。蕾から1日~2日で満開になり、その翌日にはしぼんでしまいます。

花がしぼんでしまっても、すぐに処分しないでください!

花菖蒲には苞葉(ほうよう)と呼ばれる花芽を包む部分があり、その中にもうひとつ蕾が隠れているんです。

しぼんだ花を摘んでそのまま活けておくと、2日ほどで二番花が咲き始めます。

切花なので二番花が咲く前に力尽きてしまうこともあるのですが、上手く咲けば最初のお花に劣らない美しい姿を見ることができます。ぜひもうしばらく飾ってみてください。

花菖蒲飾りとともにモダンでおしゃれな五月人形を

さて、今年の端午の節句は花菖蒲と素敵な五月人形を飾ってお祝いしませんか?

最後に2023年オススメの兜飾りをご紹介したいと思います!

【五月人形 SENRITSU 選べる3種 ケース飾り】

人気の王道カラーを採用しつつ、軽やかな佇まいがモダンな風合いを醸すインテリア兜。デザインは3種類からお選びいただけます。

アクリルケースが傷やホコリからお飾りを守ってくれるので、お手入れ簡単!両サイドには天然木製の弓太刀が揃い、コスパにも優れた兜飾りです。

コンパクトサイズで飾りやすく、ちょっとしたスペースにも見栄え良く設置することができます。

男の子の健やかな成長を祈る特別な日を、お気に入りの節句飾りと一緒にお迎えください!

おわりに

葉菖蒲も花菖蒲も、端午の節句の前日には売り切れてしまっていることがあります。確実に購入したい方は、あらかじめお店に取り置きをお願いしておくと良いかもしれません。ネットで購入することもできるようです。

普段あまり馴染みがないかもしれませんが、菖蒲は日本の伝統にずっと寄り添ってきた植物です。「今まで用意したことがなかった」という方は、今年のお祝いで準備してみてはいかがでしょうか?

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