木目込み雛人形ってなに?衣装着雛人形との違いやその魅力について
木目込み雛人形の歴史
江戸時代から続く木目込み雛人形は、衣装着の雛人形と人気を二分するお人形です。今から約280年前の江戸中期、京都の上賀茂(かみがも)神社に仕えていた宮大工 高橋忠重がヤナギの木で彫った人形に古い衣装の裂を貼ったのが始まりといわれています。木目込み人形は、桐遡(とうそ=桐の粉に糊を混ぜて固めた物)やウレタン樹脂などでできた人形に衣服の皺や模様を筋彫りし、できた溝に衣装となる金欄や友禅などの布地の端を押し込んで作られます。溝に布地の端を押し込む作業のことを「木目込む」といい、木目込み人形と呼ばれるようになりました。
衣装着雛人形との違い
一方で衣装着雛人形は、仕立てた衣装をお人形の胴体に着せ付けて作られます。お顔と胴体は別々の作家が製作し、完成した胴体にお顔を取り付けて仕上げます。一般的にお雛様のイメージはこの衣装着雛人形ですね。市場に出回っている雛人形の7割近くが衣装着雛人形といわれています。衣装着という名前からも分かるように、衣装が繊細につくり込まれ、絢爛豪華という言葉が似合うほど華やかな雰囲気があります。
そんな衣装着雛人形と比べると、木目込み雛人形はどちらかと素朴な感じがして味わい深いお人形といえるかもしれません。こうあらねばならないという決まり事が少なく表現の幅が広いのが特徴で、丸い形や四角、流線型など独特なフォルムのものが存在しています。作家さんならではの個性と上品さが光るお人形なのです。
また、衣装を何枚も重ねて製作していく衣装着とは異なり、衣装を貼り付けているため、着物の型崩れの心配がなく飾り付けやお手入れを比較的簡単に行えるというメリットがあります。
流れるような衣装の美しさが魅力の衣装着雛人形と、人形の胴体に直接衣装を木目込んだ造形が愛らしい木目込み雛人形。それぞれにイチオシの特長があり、人気を二分するだけあってどちらも魅力的なお人形です。
木目込み雛人形の魅力
それでは木目込み雛人形の魅力についてもう少し深堀りしてみましょう。
お顔に注目
衣装着のお雛様には目玉が入った「入れ目」のお顔を使用しますが、木目込み雛は筆で描いた「書き目」を使用する場合が多いです。書き目のお顔は、職人の一筆に込められた愛情により気品にあふれ、柔らかい表情となり、心を和ませてくれるような雰囲気を持っています。最近では技術の発展により、小さなお顔に直接ガラスの目を入れることができるようにもなり、可愛らしい顔立ちの入れ目を使用した木目込み雛も増えてきています。こちらも書き目の雛人形同様大きな注目を集めているようです。お人形の顔をじっくり眺めて、一人ひとりの表情の違いを楽しむのもいいですね。
コンパクトに飾れる
お顔の特徴にも勝る木目込み雛人形の最大のポイントは、なんといっても「コンパクトに飾れる」ということでしょう。親王飾り(2人飾り)や5人飾りはもちろんのこと、10人飾り、15人飾りであってもコンパクトなサイズ感で飾れるものが販売されています。 15人フルセットでありながらコンパクトにお飾りできる雛人形は木目込み雛ならではといえるでしょう。和室やリビングから、ローチェスト・キャビネットなどの家具の上、さらに玄関やその他のニッチスペースまで、飾り場所の選択肢を広げてくれるのです。マンションやアパート住まいの方が増えた昨今、飾り場所を選ばず飾れるコンパクトさは魅力ですね。
また、お人形をコンパクトに飾れるということは、すなわち片付ける際の収納スペースも少なくて済むということになります。組立て式の大きな段飾りと比べると、片付けも保管もお手軽でしょう。できるだけ手軽に雛人形を飾りたいという方は、木目込みタイプのお雛様を候補に入れてみるのもよいかもしれませんね。ただし、コンパクトさが売りの木目込み雛の中にも大きなお飾りのものもありますので、サイズ表記をしっかりとご確認のうえ検討なさってください。
優れたデザイン性
木目込み雛人形は初めにお人形の形を決める製法のため、オリジナリティを出しやすいという側面があります。よって、デザイン性に富んだお人形が多く作られています。伝統製法を用いた作家さんから若手女性作家さんまで、お人形の表情や造形、色使いもさまざまです。あたたかみのある可愛らしい表情、ころんとまんまるなフォルム、衣装着雛に負けず劣らず豊富な種類がありますので、ぜひお気に入りのデザインを見つけてみてください。
当店オリジナルの木目込み雛
当店オリジナルの雛人形ぷりふあでも木目込みシリーズを展開しています。その中でもっともコンパクトなお飾りのひとつ、「ぷりふあ Half moon-半月-」について最後に少しご紹介します。
まんまるな胴体と柔らかな表情をした、高さ13㎝のとても小さなぷりふあ人形。衣装は定番の桜柄から個性的なものまで、たくさんの種類からお選びいただけるようになっています(シーズンによって取扱いの種類が異なります)。Half moonと名付けられた飾り台は、日本家具産業振興会認定の国産品で、半月のような滑らかな曲線が特徴です。横幅21㎝のコンパクトさもポイントです。そしてお人形と飾り台のみのシンプルさ。飾り付け簡単で飾り場所を選ばないモダンな雛人形として、インテリアにこだわっている方や、お雛様を一年中飾っていたいという方にもおすすめです。
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